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§なぜなぜ分析の落とし穴(なぜうまくいかないのか?) 更新日 2016/1/18

 なぜなぜ分析による真因分析(原因究明)を、クレーム・不具合の恒久対策(発生防止対策)、
ISO9001的に言えば是正処置のために推奨している企業は多いと思う。
 管理人の会社でも、「なぜなぜ分析」をクレーム・不具合の原因究明手段として義務付けている。
ただし、クレーム・不具合はなかなか減少しない。

 今やっている「なぜなぜ分析」のゴールは、その事象の「発生原因」であって、「根本原因」に
辿り着いていない。その事象だけの応急処置になっていて、単なる同一事象の流出防止に過ぎない。
「ポカよけ」ができても根本的な管理の仕組みを改善できていないので、新しい類似事象が発生すると
イタチゴッコ(モグラ叩き)になって、また再発している。
備考)「根本原因」とは、「発生原因」を発生させている背景原因と考えてください。

 それなら、まず今の「なぜなぜ分析」で辿り着いた「発生原因」の発生をトップ事象にして、その
「発生原因」が発生する「根本原因」を「なぜなぜ分析」すれば良い!?
 まず、第1回目の「なぜなぜ分析」を三現主義で調査して「発生要因」を早く見付ける。その後、
第2回目の「なぜなぜ分析」で、その「発生原因」を発生させている背景にある「根本原因」を対策
できるようにする。ただし、根本原因を潰すということは、並大抵ではできない。本当の意味での
予防処置といえる。予防処置とは、まだ一度も起こっていない、これから起こる可能性のある不具合
を発生しないようにすること。一度起こった不具合の再発防止は是正処置(修正処置)であり、
予防処置は時間とお金が掛かるものです。第2回目の「なぜなぜ分析」はやはり管理監督する者が
やるべきかもしれない。

 これらを頭に入れておけば、第1回目の「なぜなぜ分析」には、あまり時間を掛けずに、徹底的に
事実関係だけに着目して「発生原因」に早く辿り着く。「なぜなぜ分析」を行いながら、出てきた
「発生原因」からまた「根本原因」に向かって分析を継続してしまうと、煩雑になってしまい、なぜ
の回数が多くなり過ぎて混乱するので、あまり推奨できない。

 「なぜなぜ分析」で「発生原因」を究明すれば、確かに「ポカよけ」ができるので意味はある。
その後で、その「発生原因」を発生させている「根本原因」を追究するものと考えたら、かなり
スッキリする。製造ライン上の不具合修正については、時間勝負となるので、ライン上での応急処置
としてラインを止めて短時間で原因分析する場合もある。予防処置はそのあとでよいのではと思う。
管理者はその「なぜなぜ分析」の結果から「根本原因」を究明し、予防処置を講じないと利益が出ない
ことになる。

 今まで【品質管理テーマ】のページで公開してきた、「なぜなぜ分析」の資料は、「なせなぜ分析」
の定石であり、決して間違ってはいません。ただ「なぜなぜ分析」の落とし所を意識していないと、
「なぜなぜ分析」が難しくなります。(どこで止めるのか分からなくなる。)また、「発生原因」の
究明で終わってしまうと、結局モグラ叩きになったりします。
備考)この場合の「発生原因」とは、その事象だけの「発生原因」(直接原因)であって、その
   「発生原因」を生み出した「根本原因」(背景要因)が分からないと類似のことが再発し
   てしまう。

【管理人の想い】
  「なぜなぜ分析」で、その事象の「発生原因」を究明すれば、「ポカよけ」などの対策がとれる。
 「発生原因」を発生させている「根本原因」は、現場サイドでの対策は困難であろう。なぜなら、
 大方において現場サイドでは「根本原因」は既に知っていることが多い。問題は設計要因(構造)で
 あったり、設備の老朽化、人員不足、ベテランの退職、無理を承知での短納期受注、客先の急な
 変更要求(受け負け)などが背景要因にあることは百も承知であることが多い。
  「なぜなぜ分析」では、責任転嫁は「ダメ」としているが、「根本原因」は上流部門や他部門である
 ことが多い。この場合は、「なぜなぜ分析シート」に原因として書いておくこと。まずは他部門の責任
 にはしないで、自部門で打てる対策(ポカよけ)を講じる。ただし、それだけでは効率が悪かったり、
 類似の問題が発生してモグラ叩きになっていることを、「なぜなぜ分析シート」を根拠にして管理者に
 説明し、設備や人員の問題、上流(設計や工程管理)の問題を解決してもらうのがよいと思う。
 このためにも、「なぜなぜ分析」や「なぜなぜ分析シート」は強い武器になる。

  物事の原因を「なぜ、なぜ、なぜ・・」と掘り下げて考えることは、普段から皆が当たり前のように
 行っていることです。特にものづくりの会社では、一つの部品不良がリコールや社会的問題に発展する
 こともあり、問題事象の原因究明を確実に行う方法が注目されるのも当たり前です。
  「なぜなぜ分析」は、問題の発生要因をできるだけ漏れなく挙げ切り、原因を究明する手法です。
 要因の構造を簡単なツリー状にして可視化できるので、非常に分かりやすく、かつ単純な手法です。
 ただし、実際にやってみると要因の検証が甘かったり、要因が出し切れていないことが多くあります。
 また、落とし所が分からず、中途半端なスッキリしない分析結果になることもあります。
  「ポカよけ」を実施するのか、手順書やマニュアを改善するのか、人員配置を改善するのか、製品の
 構造を変更するのか、落とし所を決めていないと混乱するのも当たり前かもしれません。「根本原因」
 に近づく程、対策費用や対策時間は膨大になり、担当者レベルではここで挫折します。
 このことを理解して、身の丈にあった対策を講じるのだと思えば、スッキリするのかもしれません。

  「なぜなぜ分析」は、やればやるほど人間力(問題に気付ける力)は醸成されていくと思います。
 肩肘張らずに、まずは正攻法的なやり方である「なぜなぜ分析の10則」を理解することから始めて
 みませんか!


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